2021年5月22日(土)午後、三支部連絡報告会がリモートにて開催されました。
■連絡報告会内容
1.東海支部から
【JIA大学「建築家の仕事」大学での建築教育として】発表者:川口亜稀子氏
大学3年生を対象に15コマの授業にてJIA会員の取組む仕事内容や抱負、社会との関わりを多角的に紹介。
【愛知地域会行政WGとして】発表者:吉元学氏/黒野有一郎氏
行政への働きかけとパイプ作り。/社会への「建築家」の発信:建築家プラス(小冊子)について紹介。
2.北海道支部から
【きた住まいるヴィレッジ】発表者:照井康穂氏
JIA北海道支部による行政との協働による地域住宅づくりの取り組み。
3.四国支部から
【船戸定住団地と土佐派の家】発表者:細木茂
東津野村(現津野町)より委託された公営住宅団地の「土佐派の家委員会」の取組み
4.質疑とフリーディスカッション
三支部共同で行う今回の会合は、コロナ禍が続きオンライン化が進む中で可能となりました。今回の企画は、全国会議である住宅等連携会議の前身WGにて北海道・東海両支部の取り組みについて学習会を開き、その後四国支部より両支部の取り組みはその先に発展する好事例であると感じられ広く情報の共有をしたいとの要望から始まりました。発表では、東海支部からは建築家の多種・多様な活躍の場と大学生の人生観・価値観にも役立った報告をされ、また公共工事の設計環境づくり等行政とのパイプ作り、社会への「建築家」の発信について目標を語られました。北海道支部からは宅地の不良債権を活用した行政の「支援・アドバイザー業務」としての関係の上で、作品より建築家が地域に出て行く試みについての報告、また四国の事例は地方独自の個性溢れる、若い会員や四国以外の方も再認識することを望まれる活動として挙げられました。
今回の三支部での企画を進めるにあたり、主催のJIA四国支部(笹木篤氏)よりその想いを戴いております。
『まず多支部共同開催にあたっては、本来ならば時間と段取りが必要でなかなか実現は難しく考えられましたが、現在のオンライン化が広まり複数の支部の交流がより容易となりました。今回の試みはまだ試行錯誤ではありますが、今後更に発展した形で各支部間の交流と情報共有が進んでいくための布石になればと考えます。今後の広域組織づくりにとって、多極型ネットワークをいかにうまく活用していくのかが重要であります。また敷居を低くして情報があまり行き届かない会員や若い会員の方が参加しやすくするためでもあり、更にはJIA以外、行政の方も是非参加していただきたいと考えます。
今回のテーマについては、建築家と行政の関係については大変重い課題で長い歴史があると思います。これまでは特定の建築家や行政体の関係の下で行われた特殊プロジェクトの例はありましたが、両支部の事例は実効的で持続可能なプログラムであると評します。故に更なる展開が期待され、広く共有する機会を作りたいと考えました。また今回の事例から建築家は単なる設計技術者ではなく、多面的な職能を有する専門家であることも再認識され、このような職能を活かせる社会との関係性を築ければと期待しました。それは建築家の未来像を暗示しているように感じ、先ずそのことを自覚する必要があると考えます。気づき、自分を高める努力をするきっかけを作ることが第一の目的であり、つぎの段階で「行動(外部化)」し、いろいろなところの反応を見ることが重要でありますが、地域事情によって様々で方法論は一様ではなく、慎重に検討が必要であり時間が有することとも考えます。』
感想としては、今回の会を参考にして広がった企画等の各支部からの報告や、各支部が発表した内容に進展があった場合の状況報告など、引き続き報告会ができればと思います。また地域会内部の委員会からは、通常委員会内で企画している活動の参加者募集についてもリモート企画なら他支部へ活動の参加者募集をかけて常に支部関係なく交流できるのもメリットではないか(実際会員数も減り、参加者もコアメンバーになってきて増員したいため。)との意見もありました。
また「質疑とフリーディスカッション」では、会員が画面越しではあるが顔と名前を認識することができ、対面形式より身近に感じられました。質疑もチャットを読み上げるだけでなく、直接参加者から質疑回答し情報交換できたことで、遠方間で交流が深められた点は実りのある会と実感しました。
参加者は、合計53名(東海 23名/北海道 5名/四国 17名/関東甲信越 2名/北陸 2名/中国 2名/九州 2名)と多支部から参加いただき、全国に興味を持っている会員がいることを前向きに捉え、広報にも工夫していきたいと思います。今回は内輪な情報交換の意味合いが強かったのですが、整理をして次回は行政の参加も促せればと思います。先に挙げた住宅等連携会議では、各支部から行政との関わりから発展した企画の情報を集め、今後も支部という壁を越えて共有し、水平方向の繋がりが進んで行くことを期待し、この繋がりを生かしてどのように展開していくのか。検討して昇華できればと考えます。